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2010年2月12日 (金)

『うさぎ跳び!』 (小学校3年生 ⅩⅩ)

小学校1年生の時に、憧れていた、ヒーロー君。

とっても足が速かったヒーロー君。

その彼の名は、小学校3年生になった頃には、学年でも、かなり有名になっていた。

よく、クラス分をする時に、各組が平均する様に、足の速い子とか、ピアノが演奏できる子とかを、平均的に分けると聞く。

そう言えば、小学校5年生から始めたボーイスカウトであったが、ボーイスカウトに入っていた人間も、各組に、平均的に、分けられていたようだった。

各組に、4~5人は、スカウトが居たと思った。

今から考えたら、想像も付かない様な、スカウト人口であった。

小学校3年生の頃、私は、『虚弱』の烙印を押されていたが、どう言う訳か、足は、遅い方では無かった。

逆に、速い方だった様である。

それは、ヒーロー君に憧れて、彼の背中を追っていたせいであろうか?

それとも、両親のお陰か?

はたまたは、ご先祖のお陰だったのか?

それは何も解らない。

小学校1年生の時には、リレーの選手だったと思った。

練習中に、『みどりちゃん』を転倒させてしまい、グラウンドに、立たされた思い出があるから、それは間違いが無いであろう。

小学校2年生の時は、どうだってであろうか?

2年生の時の思い出は、とても希薄であるのだが、リレーの選手には、選ばれた記憶がある。

と言うか、リレーの選手から外された記憶が無いのである。

とにかく私は、あの、スターターのピストルの音が、とても嫌であった。

とにかく、心臓に悪い!

だけれども、どう言う訳か、大体が、スタートを任されていた。

何でも、競えば速いが、一人で走ると遅いと言うのが、その、理由のようであった。

ただ、小学校2年生の時には、走った覚えが、全く無いのである。

『虚弱』のために、外されたのか?

それとも、運動会自体を、休んでしまったのか?

とにかく、定かではない。

運動会と言えば、親が、両親が、観に来てくれるものである。

だけれども、私の所は、祖母であった、

父親などは、一回たりとも、運動会には来ていない!

まぁ、元々、期待はしてはいなかったが。

夏休みが開け、暫くすると、運動会の練習が始まる。

各競技に出る人間も決められ、当然、リレーの選手も決められて行く。

やはり、リレーの選手を決める時には、かなりの盛り上がりを見せる。

ただ、この頃には、学年でも有名になってしまったヒーロー君の様に、足の速い児童は、クラスの中でも、大体が、解っていた。

だから、学級委員長や、副委員長が黒板に、競技の名前を書いて行くと、クラスのみんなが、

『○○君!』

とか、

『○○ちゃん!』

と言って、他薦が始まる。

やっぱりみんな、勝ちたいのである。

当然の選択である。

『虚弱』の私は、やっぱり、下を向いている以外に無かった。

ある体育の授業の時に、川口先生が、いきなり、

『みんなで、競争をしてみましょう。』

と、言い出した。

みんなはてっきり、徒競走の練習ばかりだと思っていた。

私も当然、そう、思っていた。

何人かが、並んで走った。

大体、50mぐらいであったろうか。

私は、何気無しに走っていたが、ゴールをした時には、私の前には、誰もいなかった。

川口先生は、

『じゃぁ、1番になった子は、集まって!』

と言った。

そして、

『今度は、100mを走ります。良いですか?』

と言った。

何人の児童がいたであろうか?

校庭のトラックは、200mであった。

ただ、トラックは使わなかった。

木造校舎の前から南に向かって、体育倉庫の近くまで行くと、100mの直線は取れた。

そのラインが、薄く残っていた。

そこを、走る事になったのである。

体育倉庫の近くに、川口先生が立った。

『よーい、どん!』

私は内心、何で2回も走るの? 面倒臭いなぁ、と思っていた。

とりあえず、走ってみた。

ゴールをした。

そうしたら、

『○○君まで!』

と、川口先生が、叫んだ。

私は、4着以内に入っていた。

クラスのみんなは、大不満であった。

川口先生が、私を、リレーの選手にしてしまったのである。

クラスのみんなの、白い目が突き刺さる。

それでも先生は、

『だって、みんな観てたでしょ?』

と、それを一蹴してしまった。

大変な事になってしまった。

『虚弱』の私が、リレーの選手になってしまった!

クラスのみんなからは、あれやこれやと、誹りが入る。

特に、女子達からの、きついお言葉が多かった様に思った。

川口先生は、仕方が無かったのであろう。

もう一度、100mの競争をやった。

そうしたら、何と!

今度は、2着になってしまった。

もう、誰も文句を言う者は出て来なかった。

しかしながら女子達は、どうしても、納得が行かなかった様であった。

要は、お気に入りの男の子が、出場できなくなってしまった訳である。

私を敵対視するのも当然の結果である。

私には、本当に、様々な言葉が投げ掛けられた。

『負けたら、しょうちしないからね!』

『負けたら、あんたのせいだよ!』

『学校、休まないでね!』

『体を、きたえなきゃだめだってよ!』

『足に、きんにくをつけなければだめだって!』

『星ひゅうまみたいに、うさぎとびでも、やったら?』

『テラスで、みんなやっているから、あんたもやttら?』

罵声とも、罵りとでも言う言葉が、どんどんと、飛び込んで来た。

私は、本当に、どうしたら良いのか、さっぱり解らなかった。

リレーの、バトンパスの練習にも、今一、気持ちが乗らないし、リレーの仲間とも、今一つ、仲良くは、なれていなかった様に思った。

そこで、よしっ!

テラスで、うさぎ跳びをやってやろうと思った。

そうすれば、クラスのみんなも、多少は、認めてくれると、そう思ったのである。

昼休みになって、何時もは校庭に出て行くのを止めて、中庭に突き出している、コンクリートのテラスの部分で、うさぎ跳びをやった。

『星 飛雄馬』の様にやるんだ!と思って、腰の後で手を組んで、テラスを、何往復もした。

長さは、50m以上は、あったであろうか?

初日は、まぁまぁ、良かった。

何てことは、無かった。

2日目も、問題は無かった。

だけれども、随分と足は、重くはなっていた。

3日目。

突然、ふくらはぎに、激痛が走った。

それと共に、太腿にも、激痛が来た!

倒れた。

それを観ていたクラスの女の子が、川口先生を呼びに行った。

先生は、中庭を横切って、私の元に、賭け付けてくれた。

そうして、私を抱き抱え、クラスの先生の、机の所まで連れて行った。

先生は、椅子に座り、その先生の太腿の上に、私を座らせた。

『こんなことなんて、しなくったって、良いのよ。あなたは、充分、足が速いんだから。』

先生は、ひたすら、私の足を擦ってくれた。

固くなっていた太腿を、白い、細い指で、揉み解してくれた。

私は思わず、

『だって! だって!』

と言って、泣きじゃくってしまった。

『いいのよ、本当に、いいのよ。何もしなくたって、大丈夫なんだから。』

『位置に付いて、用意! ・・・。』

スタートのピストルが鳴らされた!

私は確かに、1番でバトンを渡した。

だけれども、その後の結果に付いては、記憶が無い。

運動会では、徒競走や、障害物競走など、個人の種目では、3着までに入るとリボンが貰えた。

ゴールをすると、6年生のお姉さんが、1とか2とか3とか、書いてある、旗の所まで連れて行ってくれて、並ばせてくれた。

それで、1着は赤、2着は青? 3着は黄? の3cmぐらいのリボンを、安全ピンで、肩に付けてくれた。

私は、赤いリボンを、幾つ取ってであろうか?

もう、得意満面であった。

それと、もう一つ。

運動会に、初めて、母親が、顔を出した。

ただ、野良着姿であった。

もんぺ姿であった。

でもこの頃は、野良仕事の合い間に、運動会を観に来る、なんて事は、ごく当り前の事であった。

母親は、農業仲間の間にいた。

ちょっと、裕福なお宅は、レジャーシートの様な物を敷いていたが、流石に農家は、そうはいかない。

大体、ムシロや、ゴザである。

それに、もんぺ姿に、手甲に、頭に手拭と来れば、直ぐにでも、母親達は、発見ができた。

初めて、母親が、運動会に来てくれた!

確かに、1年生に、妹がいたのだけれども、実際は、違った様である。

川口先生に、お願いをされた様であった。

『頑張っているので、観に来てあげてください。』

私ばかりでなく、母親まで、声援を、貰っていたのであった。

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